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箱のなかのトリトーネ

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの傑作・トリトーネの噴水を見に行こう!

と思って地下鉄バルベリーニ駅の階段を駆け上がったら----


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修復中でありました。
完成は今年の10月・・・長いですね


がっかりだよ!!(懐)


ふう、遠路はるばる来たのにお目あてのものが見れないってのは悲しいですね。博物館や美術館でもこういう憂き目に遭うことはよくあります。他館への貸出情報なんかは事前にネットに載っていてチェックできるかもしれないけど、ほぼ毎日どっかしらの部屋をメンテナンスと称して予告無しで閉めますからね。気合入れてルーヴル美術館に行ってみたら、その日に限って北方絵画の部屋が全てCLOSEDでフェルメールやデューラーを見れなかった・・・という苦い思い出があります。その時はちびまるこちゃんのように顔に縦線が入りましたよ。ところで、ルーヴルはミロのヴィーナスやグランドギャラリー、モナリザの部屋を突然閉めたりすることはあるんでしょうか。

実はこのトリトーネ、以前にも見たことがあるので、、その時の写真をば。
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トリトーネ (Tritone)というのはギリシア神話上の海の神・ポセイドンの息子のことです。イルカの上に乗って力強くホラ貝を吹いていますね。彼はこのホラ貝を吹くことによって、全世界の海の波の強さをコントロールしているんだそうです。「今日は波が荒いな~~」と思ったら、どこかでトリトーネがホラ貝を強く吹いているのでしょう。写真ではあんまりわかりませんが、ホラ貝から溢れ出す水の流れが本当に綺麗です。力強さのなかに優雅さが同時に存在しているのが、ベルニーニ作品の特徴ですね。このバルベリーニ広場はトリトーネの後ろから前に向かって緩やかな傾斜を持つ構造になっているので、正面に立ってこの噴水を眺めていると、まるでトリトーネに上から水を吹きかけられてみたいな感覚になります。そこらへんは天才ベルニーニも計算したのでしょう。そういえば、東京湾に面して立っている「晴海トリトンスクエア」もこの神にちなんで命名されたんでしょうか。

さて、このトリトーネを皮切りに、ほかにもいくつかの修復事業が予定されています。テヴェレ川を渡ったトラステヴェレ地区にあるトリルッサ広場のパオラの泉が2月から、
スペイン広場のバルカッチャの泉(ベルニーニ父子の共同制作?)が8月終わりから↓↓、
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ポポロ広場のライオンの噴水が来年1月から↓↓、修復が始まります。
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修復されたあとはどのような姿を見せてくれるのでしょうか~とっても楽しみです。
これらに加えて、来年の初代皇帝アウグストゥスの没後2000年を機に「アウグストゥス霊廟」も修復したい意向のようです↓↓。
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なんと1936年以降ずっと閉鎖されたままだとか・・・すっかり地中深く埋まってしまってますな。かわそうなアウグストゥス。現在ローマ市はは修復・再開のためのスポンサーを探しているところだそう。この財政難の折、こうした大事業にお金をつぎ込むのは賛否両論ありますが、「煉瓦の街を大理石の街に変えた」という言葉を残した古代ローマ帝国初代皇帝にふさわしい霊廟の姿になったらいいだろうな~。
by carlee_trastevere | 2013-02-27 20:05 | イタリア
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