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カテゴリ:フランス( 4 )

ゴシック誕生と王家の墓

冷たい雨に降られ、強い風に煽られ、地下鉄内のスリに怯え、パリ郊外のサン・ドニへ行ってきました。
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こちらがお目当てのサン・ドニ大聖堂。ちょっと斜めに写ってるのは、寒さに耐え忍んでいるためです。ほんとうに底冷えのする日でした。

さて、パリで最初に司教になったサン・ドニにちなんで名づけられたこの地にある大聖堂は、ゴシック誕生の地とか言われていて、パリ周辺にあるゴシック建築の言わばお手本のような存在でした。
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時は12世紀中ごろ、おフランス全体ではまだまだロマネスク建築が主流だったころかな~サン・ドニ修道院長に就任したシュジェルなる方がリーダーシップを発揮して、この修道院(当時はまだ修道院だったのだ)の改築に乗り出したのです。
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このシュジェルさん、修道院長になる前はフランス王家の相談役をつとめていただけあって、なかなかデキる人物でした。
もとからこの修道院は歴代王家の墓所でもあって、聖なる場所に俗なる力が及んでいる場所。この1世紀弱前に「カノッサの屈辱」が起きたみたいに、神様と王様の熾烈な権力争いが吹き荒れたような時代に、この共存は珍しい。元王家相談役のシュジェルは、この共存関係をさらに発展させることを考える。世俗の力(=王家)をバックにサン・ドニ修道院を強化し、逆にサン・ドニ修道院はカトリック教会から得たプライオリティによって、フランス王家を支援する、ということ。今流行の(?)WIN=WINの法則ですね。
彼はそんな戦略のもと莫大な費用をかけてこの修道院を、フランス王国の中心として神の栄光にふさわしく豪華に改築したのです。

写真↑↑↑ではわかりませんが、扉の上にシュジェルの言葉がラテン語で書いてあります。
「貧しき心は、物質を通して真実まで登りつめることができる。」
・・・・つまり、目に見えない神の世界を一般大衆にとってよりわかりやすい形で具体化することで、彼らの信仰をより深めることができるということ。これがゴシック精神の極み。
なんつーか、「見た目が大事」っていうのは、こんな時代から言われてたんですね。。

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バラ窓を聖堂内に取り入れたのも、シュジェルの発案です。紫色が神々しい。
毎回のことですが、聖堂内の写真の精度はあまり芳しくなく・・すいません。
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こちらは12世紀オリジナルの聖母子像。
お利口そうなキリストが祝福を与えていますね。
ここサン・ドニは王家の墓所であるだけに革命で相当荒らされたため、かなり修復が繰り返されています。なので、オリジナルは貴重~。

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こちらもシュジェル発案、放射状につくられた内陣とステンドグラス。神からもたらされる聖なる光を全身で感じることができる場所です。その所々に、歴代王家の人々の墓碑が横たわってて怖いんですけどね。
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向かって右側が、「エッサイの樹」。シャルトルにもありました。はい、シュジェルさん跪いて特別出演しちゃってます。しかも隣の「受胎告知」の場面にも登場してます。わかるかな?
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眺めててなんだか日本の万華鏡を思い出してしまった、このステンドグラスたち。洗練されてるというより、賑やかで愉しい。中世の人々はこの耀きの中に神を見て、真実の高みに至ったのかしら。
ロマネスクのように閉ざされた空間内で荘厳な思いに浸ることはないけれど、光に感化されて晴れやかになるね。敏腕修道院長の狙い通りだな~。

以下、もはや誰が誰だがわからなくなってしまった、王とそのご家族の墓碑・・・と呼ぶにはちと怖すぎる彫刻。真夜中動いてると思う・・。
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最後の一枚はちゃんとわかるよ。ルイ16世とマリー・アントワネット。
処刑後、長い時間を経てここで再会したお2人。
生前を悔いるような、神妙な顔につくられたように見えるアントワネット。ちょっと悲しい。


ということで、サン・ドニ参り終了。
せっかくだから、次はロマネスクかな。
by carlee_trastevere | 2011-05-31 00:18 | フランス

聖母をたずねて

おパリから電車で1時間くらいの、シャルトルという街に行ってきました。
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目当てはここ↓↓、シャルトル大聖堂。12世紀に建てられました。正式名はノートルダム大聖堂なので、ここも聖母マリアに捧げられた大聖堂です。駅から10分ちょっとだったかな、大聖堂の尖塔を目印に緩やかな坂道を歩きます。憧れのシャルトル、、、ワクワクどきどきな浮かれ気分と同時に、身が引き締まる思いもしたり、、。日本の神社にも参道ってありますけど、神様のいるところへ向かう道って、どこの国へ行っても特別ですね。信仰してるしてないは別にして、ずっと長い間人々を支え続けてきた「魂」に近づいていくのかと思うと、ほんと特別な気持ちになります。
あぁ~もう着いちゃう!!ってところでちょうど良くカフェがあったので、コーヒー飲んで心の準備万端でれっつらゴー。
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今日も寒いな。ふんふん、中へ入る前に建物の外側を拝見。
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ふんふん、ゴシック建築って天にすくぅっと伸びてるのが特徴なんだけど、その重量を支えるために外側の飛び梁(フライング・バットレスっていうんだっけ)が、かなりゴツゴツしてる。フィレンツェ人はそのメキメキな外観が気に入らなくて、あの大聖堂をつくるのに相当苦労したのよね。
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こちらは正面扉の彫刻。12世紀完成当時のままのオリジナルです。玉座のキリストを中心に、四福音書記官を象徴する4匹の動物が囲んでます。時計回りで鷲がヨハネ、牡牛がルカ、獅子がマルコ、天使がマタイ。冬に行ったヴェネツィアにも、マルコを意味する獅子がいっぱいいたよね。

さて、肝心な大聖堂の中ですが、これまたロクな写真が無い・・。ごめんなさい。世界一のステンドグラスなんですけどね。その美しさは、「シャルトルの奇跡」「天上の交響曲」とか言われてます。
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ごめんちゃいバラ窓。これも12世紀オリジナルでごわす。
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バラ窓下3連の右窓、「エッサイの樹」。キリストの家系図みたいなもので、ステンドグラスによく登場する図像です。そういえば、絵画じゃほとんど見かけません。青が綺麗だった~。
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「神は光なりき」が、中世のキリスト教徒たちの信念だったそうです。
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「ガラス窓は聖なる書である。それは真の太陽なる神の光を教会の中に注ぎ込む」
(13世紀の典礼学者ドゥランドス)
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中央に聖母マリアが座り、幼児キリストを抱いているバラ窓。その周りには旧約聖書の王や預言者たちが表現されています。垂直性の高いゴシック建築に、あえての円いバラ窓。見逃してしまいそうですが、これはフランスゴシック特徴で、注目すべきところらしいです。
美とは種々異なったものの調和・・・という当時の美意識を反映してるとか。
この「異なったものの調和」っていうの、すごく好きかも。
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さて、この左側のステンドグラスがシャルトルのクライマックス。
「美しきガラス窓の聖母」と呼ばれていて、こちらも12世紀そのままの姿で輝き続けてくれています。顔見えないけど~~、、煌く赤を背景に、青い衣のマリアが凛としてキリストを抱いて座っているこのステンドグラス、ほんと忘れられません。この青がまた良いんですよね。よく大聖堂内のステンドグラス全体を指して、「シャルトルの青」って言われますが、もともとはこの聖母の衣の肩の部分の青を指して言ったことばだそうです。ピンポイントすぎる~。
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そうそう、青い聖母のほかに、黒い聖母にも会いましたよ。フランスには、土着の豊饒と多産の女神とマリアが結びついた黒い聖母像がたくさんあるんですよね。これらの黒い聖母の多くが地下聖堂に安置されているので、子宮を暗示してるとか、ダヴィンチコード関連の本で読んだことがあります。・・・流行りましたね。

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そして、こんなケバブサンドを食べて帰りました。はっきり言って、おフランスのケバブは美味しかったです!

あともう1回くらい、ゴシック萌えシリーズがあるかもしれませーん。
by carlee_trastevere | 2011-05-09 02:16 | フランス

光のスペクタクル

なんとな~く、おパリで見た教会とステンドグラスをご紹介します。

★サント・シャペル(1248年完成)
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降ったりやんだり曇ったりのグズグズな寒空の下、2時間近く並んで見たものは~

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光り輝く色彩のシャワー。外はあんなに曇ってて寒かったのに、ここは天国か極楽浄土かと思うくらい、うっとりな空間でした。旧約・新約の聖書の場面が描かれていて、文字の読めない市民に対して聖書の教えを「絵解き」したのですね。私も最初はガイドブックを見ながら、聖書どの場面をあらわしてるのか確認してましたけど、あまりにも多いので途中でリタイアしてしまいました~。
それにしても、さすが、美の都・おパリの中でも、屈指の美しさを誇るステンドグラスです。こんなに上品に華麗に魅せるのって、凄いよね。わが国の大晦日に登場する、何がなんだかわからない派手なだけの衣装の歌手(約2名)にも、教えてあげたいです。あれはあれで嫌いじゃないけど。
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ちなみに、ここサント・シャペルは、「キリストの荊」を安置するために建てられたそうです。更にもとをたどれば、「キリストの荊」を所有していたおフランス貴族が、(私が大好きな)ヴェネツィア共和国からの借金のため、これを担保として差し出さなければいけなかったところ、おフランス王が債務を肩代わりしてくれて、「キリストの荊」も晴れておフランスのものとなったらしい。もしも、王が肩代わりをしなかったら、今ごろ「キリストの荊」はヴェネツィアのサンマルコ寺院で見ることができたかもしれません。いずれにしても、、「キリストの荊」は、大革命を経て、もはやここにはなく、ノートルダム大聖堂に納められているそうです。

★ノートルダム大聖堂(1300年ごろ完成)
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はい、ここが「荊」のあるノートルダム。「キリストの荊」は、カトリック教会での特別な日にだけ公開されているみたいです。
さて、ノートルダムっていうのは「Our Lady」を意味して、聖母マリアに捧げられた大聖堂ということですね。中世の終わりごろ、おフランスでは、聖母マリア信仰が盛んで、各地に聖母マリアに捧げる大聖堂が建てられたのです。まあ、世紀末の最後の審判に対する恐れや、異教徒を駆逐するための十字軍遠征、そのつまずき等が続いて、マリアの母性的な癒しが必要だったのでしょうね。聖母マリアは、人間と神との「優しいとりなし役」として、現れてくれたのです。

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ナポレオンも、ここで戴冠式をしましたね。法王を差し置いて、自分でジョセフィーヌに戴冠しちゃあ、だめじゃないのか?(しかも3割増しくらいでかっこ良く描いてもらってる)

それ以外でも、ジャンヌダルクの復権裁判など、重要な儀式が数多くここで執り行われてきました。ノートルダムには、フランスの酸いも甘いも(?)、いろんな歴史が詰まってますね。

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信仰の色・青を基調にしたステンドグラスが美しいです。
・・・いや、なんでこんなに残念な写真しかないのかしら?
ごめんなさい。ほんと凄く綺麗だったんですけどね。。サント・シャペルのまぶしいくらいの光とは違うけど、気分がすぅ~~っと浄化されるような、、そんなステンドグラス。
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こちらも残念気味ですが、「聖母マリアのポルタイユ」という、3つの正面入口の1つです。完成当初から、「美しい!」と評判で、彫刻師たちのお手本となっていたそうです。(一説には悪魔が彫ったとか)キリストのもとへ昇ったマリアに、天使がちょこんと戴冠する、この場面。荘厳だけど、可愛らしいですね。ナポレオンにも、ぜひ見て欲しかった一枚だわ。

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おパリの教会とステンドグラス、もう少しだけ続きます~。
by carlee_trastevere | 2011-05-02 00:20 | フランス

移動祝祭日

パリにて。
モンマルトルの丘より、エッフェル塔~★★★
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♪ くもよーーりーーたーーかーーいーーーエッフェル~塔~?
エッフェル塔の存在、際立ってます。
さて、このモンマルトルにそびえるのは、、、
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サクレ・クール寺院。
むかしむかし、写真で見て「タージマハル」と間違えたことがあるこの寺院、長く続いた革命の動乱や、他国との戦争によって亡くなった方々への哀悼と、フランス共和国の新しい未来を祈念してつくられました。20世紀はじめに完成だから、けっこう新しい。
・・・・ってことは、戦いに明け暮れていた時代はそんなに過去の話ではないってこと。
それに、今でもまだ戦ってるし。人間てやつは、血で血を洗わないと気がすまないのかね。

余談ですが、この丘にのぼりきる手前で待ち受ける売り物屋さんたち、かなりしつこかったです。「マドモアゼル~マドモアゼル~るっくあっとみ~」って。。。。そんなパチもん誰が買うか~~!!!放っといてくれ!

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ケーブルカーの横の階段は、モンマルトルの名物的な風景。会社の階段は苦痛極まりないのに、この階段は上っても上っても気持ち良い。

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こちらはぶどう園。こじんまりと、美味しいワインが作られているそうです。
どっかのお店で飲もうかと思ったけど、結局飲めませんでした。。悲し。。

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おーかわいこちゃん達!連れて帰ってもいいですかね。

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アトリエ洗濯船跡。ここで、ピカソやルノワール、モディリアーニたちがアトリエを構えていました。ピカソがここで「アヴィニョンの女たち」を描いたそうです。火災で窓以外すべて修復されていたと知ったのは、帰国後。けっこう、張り切って行ったんだが、、。

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ルノワールの名作↓↓にも登場する、ムーラン・ド・ラ・ギャレット。いまは静か~なこの場所も、絵に描かれたころは騒がしかったんでしょうね。19世紀のおわり、飲んで歌って踊って、今このときが楽しくて幸せそのもの~ってのが伝わってきます。
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風情がありますねー。いい旅夢気分だわ。この道、ピカソもゴッホもユトリロも通ったのかな?
♪ おーシャンゼリゼ~~な大通りも良いけれど、人間の生活の「いきづかい」が折り重なったような風景のほうが、好きです。

「パリは移動祝祭日」って言ったのは、作家・ヘミングウェイ。
ほんの少しの滞在でも、パリは残りの人生ずっとついてまわるらしい。
うーーん、たしかに!
ついてまわられてます!
by carlee_trastevere | 2011-04-23 14:05 | フランス