ゴシック誕生と王家の墓

冷たい雨に降られ、強い風に煽られ、地下鉄内のスリに怯え、パリ郊外のサン・ドニへ行ってきました。
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こちらがお目当てのサン・ドニ大聖堂。ちょっと斜めに写ってるのは、寒さに耐え忍んでいるためです。ほんとうに底冷えのする日でした。

さて、パリで最初に司教になったサン・ドニにちなんで名づけられたこの地にある大聖堂は、ゴシック誕生の地とか言われていて、パリ周辺にあるゴシック建築の言わばお手本のような存在でした。
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時は12世紀中ごろ、おフランス全体ではまだまだロマネスク建築が主流だったころかな~サン・ドニ修道院長に就任したシュジェルなる方がリーダーシップを発揮して、この修道院(当時はまだ修道院だったのだ)の改築に乗り出したのです。
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このシュジェルさん、修道院長になる前はフランス王家の相談役をつとめていただけあって、なかなかデキる人物でした。
もとからこの修道院は歴代王家の墓所でもあって、聖なる場所に俗なる力が及んでいる場所。この1世紀弱前に「カノッサの屈辱」が起きたみたいに、神様と王様の熾烈な権力争いが吹き荒れたような時代に、この共存は珍しい。元王家相談役のシュジェルは、この共存関係をさらに発展させることを考える。世俗の力(=王家)をバックにサン・ドニ修道院を強化し、逆にサン・ドニ修道院はカトリック教会から得たプライオリティによって、フランス王家を支援する、ということ。今流行の(?)WIN=WINの法則ですね。
彼はそんな戦略のもと莫大な費用をかけてこの修道院を、フランス王国の中心として神の栄光にふさわしく豪華に改築したのです。

写真↑↑↑ではわかりませんが、扉の上にシュジェルの言葉がラテン語で書いてあります。
「貧しき心は、物質を通して真実まで登りつめることができる。」
・・・・つまり、目に見えない神の世界を一般大衆にとってよりわかりやすい形で具体化することで、彼らの信仰をより深めることができるということ。これがゴシック精神の極み。
なんつーか、「見た目が大事」っていうのは、こんな時代から言われてたんですね。。

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バラ窓を聖堂内に取り入れたのも、シュジェルの発案です。紫色が神々しい。
毎回のことですが、聖堂内の写真の精度はあまり芳しくなく・・すいません。
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こちらは12世紀オリジナルの聖母子像。
お利口そうなキリストが祝福を与えていますね。
ここサン・ドニは王家の墓所であるだけに革命で相当荒らされたため、かなり修復が繰り返されています。なので、オリジナルは貴重~。

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こちらもシュジェル発案、放射状につくられた内陣とステンドグラス。神からもたらされる聖なる光を全身で感じることができる場所です。その所々に、歴代王家の人々の墓碑が横たわってて怖いんですけどね。
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向かって右側が、「エッサイの樹」。シャルトルにもありました。はい、シュジェルさん跪いて特別出演しちゃってます。しかも隣の「受胎告知」の場面にも登場してます。わかるかな?
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眺めててなんだか日本の万華鏡を思い出してしまった、このステンドグラスたち。洗練されてるというより、賑やかで愉しい。中世の人々はこの耀きの中に神を見て、真実の高みに至ったのかしら。
ロマネスクのように閉ざされた空間内で荘厳な思いに浸ることはないけれど、光に感化されて晴れやかになるね。敏腕修道院長の狙い通りだな~。

以下、もはや誰が誰だがわからなくなってしまった、王とそのご家族の墓碑・・・と呼ぶにはちと怖すぎる彫刻。真夜中動いてると思う・・。
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最後の一枚はちゃんとわかるよ。ルイ16世とマリー・アントワネット。
処刑後、長い時間を経てここで再会したお2人。
生前を悔いるような、神妙な顔につくられたように見えるアントワネット。ちょっと悲しい。


ということで、サン・ドニ参り終了。
せっかくだから、次はロマネスクかな。
by carlee_trastevere | 2011-05-31 00:18 | フランス
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