2つの円柱に守られて

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ヴェネツィアの海の玄関口で、サンマルコ広場のすぐ横の船着場にそびれる2本の円柱。
向かって右がこの街の「主席聖人」の聖マルコをあらわす獅子、左に立つのは「次席聖人」聖テオドーロ。

昔からキリスト教国には、その国の守護聖人を制定するならわしがあって、ヴェネツィア共和国も6世紀の建国以来、聖テオドーロを守護聖人としていた。しかし、商売の味を覚えて次第に国力を増していくにつれて「聖テオドーロじゃ物足りないよね~」ということになったとか。当時は、守護聖人のランク=国力のランクだったのだ。たしかに、聖テオドーロは聖人の中ではマイナーな存在。そこで、エジプトで眠っているという聖マルコの遺骨にヴェネツィア人は目をつけた。聖マルコは聖書を執筆した4人のうちのひとりで、イエスの直弟子・ペテロから伝え聞いた話を聖書にまとめたとも言われているくらいだから、聖人ランクは上の上。この新興国家の機運を盛り上げるにはちょうど良い!さっそくヴェネツィア商人はエジプトへ向かい、聖マルコの遺骨を安置場所から盗んだか金を積んだかして、、とにかくヴェネツィアへ持ち帰る。
「さあ、今日から聖マルコが我が国の守護聖人だ」と、住民は大いに得意になって聖マルコの遺骨を納めるための寺院をつくってしまった。(ここで、その遺骨は本物なのか?と考えないように)
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9世紀前半、こうして聖マルコを守護聖人にして一気に盛り上がったヴェネツィアは、いよいよアドリア海へ乗り出していくことになる。ヴェネツィア黄金時代のはじまりはじまり。
商売も戦争も、ヴェネツィア共和国なしでは始まらない時代が、確かにあったのだよね。
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「聖マルコの庇護のもとにあるヴェネツィア共和国」という共同意識を高まらせて、住民たちを鼓舞するため、国中の色々なところに獅子像をつくることも。これは対外的なプロパガンダのためでもあったというから、ヴェネツィア人はやることが徹底している・・。さすが商人さんの国。
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どうでもいいけど、この浮き彫りの聖マルコの獅子、右手をあげて「よおっ」とやってるようにしかみえない~。
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剣を持つ聖マルコの獅子は、「おれも一緒に戦ってるぜ」ということか。聖マルコにここまでやられてしまったら、がんばるしかないだろ~~。

さて、船着き場に戻って、この2本の円柱。
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商売も戦争も、ヴェネツィアの船はここから出発して、ここへ帰ってきたのだ。
主席のマルコと次席のテオドーロは、何百年もの間この船着場で、ヨーロッパの最前線に立って戦うヴェネツィアを励まして見守り続けたてきたんだろうな。
そして、共和国はとっくに滅亡して、ヴェネツィアはいち観光都市として生きていくしかなくなった今では、住民の幸せと観光客の旅の安全を、見守ってくれている。

おかげさまで、安全で楽しい旅でした。
by carlee_trastevere | 2011-01-23 00:55 | イタリア
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